mactisの経済ブログ

ある銀行員が金融メジャーリーガーを目指して奮闘するブログ

不動産投資の現状を現役融資担当者が考える。

こんにちは、mactisです。

 

今回は不動産投資への融資の現状を実際に不動産への融資付けをしている担当者として考えてみます。

 

不動産投資。それは賃貸用物件を購入して不動産賃貸業を営む行為です。

その不動産投資への融資額が毎年かなりの増加をしており、最近になって金融庁が警戒感を示していることが新聞やテレビで取り上げられるようになりました。

 

実際に金融庁の警戒は各銀行への圧力となっているのか、不動産投資への融資の判断は厳しくなっているのか。そんな疑問に今回はスポットを当ててみたいと思います。

 

 

 

不動産投資を行いたいという人は多く、私も銀行員として働き始めてから1年という短い期間であるにも関わらず多くの相談に乗ってきました。

その相談でこの頃よく質問いただくのが不動産投資への融資審査は厳しくなっているのかというものです。

 

その質問への現段階での答えとしては、

金融庁からの圧力はないが、審査は厳しくなっている。

です。

 

具体的に解説していきます。

審査が厳しくなっている理由の前にそもそもなぜ不動産投資への融資額が増加しているのかを考える必要があります。

 

それは相続税制の改正で相続税対策としてアパートの建設が増加したからです。

 

相続税制の改正で平成27年から相続税をこれまで負担する必要のなかった人々が負担しなければならなくなりました。すると相続税を払わないで済むように対策を考える必要があります。それがアパートの建設です。アパートを建てることで土地の評価額を下げることができます。建築業者はこの相続税軽減のロジックを地主に提案します。地主にとってもメリットのある話であり、手段の一つとして提案を受けるのです。

建物を建てたい建築業者、相続税の軽減をしたい地主。その取引にもう一人、加わりたい人物がいます。

 

それが銀行員です。

 

超低金利の今、資金需要も乏しく銀行の収益環境はかなり厳しい状況です。そんな中、不動産投資への融資はスプレッドも取れてかつ長期にわたっての融資であり、とてもおいしい収益源なのです。

建物を建てたい建築業者・相続税の軽減をしたい地主・お金を貸したい銀行

これら三者三様の思惑が合致したことが不動産投資への融資額拡大を引き起こしているのです。

 

 そんな状況下で

人口減少が確実視されている現在に不動産投資への融資額拡大とは何事だ。

という懸念を示している金融庁ですが、現在においては具体的な規制の強化などにはつながっていません。

審査が厳しくなっているのはむしろ各銀行がそれぞれ与信ポートフォリオの健全化を図っている結果だと思います。

前述したように収益物件への融資額が伸びており、銀行全体の与信ポートフォリオを考えるとやや過剰感が出てきているのでしょう。銀行はお客様に預けていただいているお金でビジネスをしているため、ポートフォリオに偏りがあり、万が一のときに大きくロスを出してしまうことがあってはならないのです。

 

一方で不動産価格は高騰を続けており、以前と比べるとかなりの差が生じています。適正な価格での売買であれば回収懸念の少ない物件も価格が高くなれば当然キャッシュフローも悪くなり回収懸念が高まります。その結果として、数年前は融資できていた物件でも今はできないというような事象がでてきているのです。

実際に審査のために収益物件の収支状況や担保価値を調べると、大体の物件で収支が回らなかったり担保価値が低かったりして自己資金を多く積んでもらわなくては審査の土台にも上げられないということが多くあります。

銀行の収支計算や担保価値の算出にはストレスをある程度かけているというのもありますが、実際の価値よりもかなり高い価格で売買が行われていることも確かではないかと思います。

 

以上、いろいろと述べてきましたが、審査が厳しくなっている要因は金融庁からの圧力というよりは銀行業界全体として不動産市況の過剰感を警戒し始めていることと不動産価格の高騰で審査水準を満たしづらくなっていることにあると思います。

 これから不動産賃貸業を始めたい。不労所得が欲しい。というような方々にはぜひとも今の状況を考察し、自己資金をある程度入れられなければ審査は通りづらいということを理解していただきたいと思います。初めの物件購入は審査も厳しいのですが、2件目以降は銀行とのつながりもでき、比較的容易にはなるはずです。

つまり、不動産投資で収入を増やしていくための第一歩は初めの物件購入に融資が下りるよう自己資金を準備することだといえるでしょう。